<要約>
食物アレルギー患児の食事について、
・タンパク質等価表とカルシウム等価表を紹介しています。
・卵、牛乳、小麦、大豆製品のアレルゲンの強さを表にしました。
・卵、牛乳、小麦、大豆、米アレルギーの場合の代替食品を紹介しています。
・IgE-RISTの年齢別正常値を示しました。
・食物特異的IgE値と実際の食物負荷試験的中率の関係を示しました。これにより危険な負荷試験を減らせます。

 

<<食物アレルギーに対する哺乳・食事指導>>

<一般的注意事項>

1.母乳は最低1歳になるまで続ける。分泌量が十分であればミルクや果汁を与えない。

 (母乳は母親の食事によって毎日多少味が変わるので味慣らしの果汁は不要です。

人工乳栄養児は月齢4頃から野菜を煮込んだ上澄みを与えても構いません。)

2.離乳食は月齢6を目安に開始する。

AAPでは月齢48に開始することになっていますので焦らなくても大丈夫です。)

3.皮膚や下痢等の症状が出ないか観察しながら、急がずに離乳食を進める。

4.味付けは薄味にする。

5.野菜の甘味を利用し、砂糖は殆ど使用しない。

6.化学調味料は使用しない。

7.タンパク質を多く含む食品を与え過ぎないようにする。

8.肉類は月齢10未満児には与えない。

9.青魚等、アレルゲンとして頻度の多い食品は遅めに少量から与える。

AAPは、乳製品は1歳以降、卵は2歳以降、青魚は3歳以降の摂取を推奨している。)

<食物アレルギー患者への注意事項>

1.抗原を除去し、代替品でタンパク質を補う。

2.魚介類、肉類等では、同じ食材は45日に1回までとする。(回転食)

3.食品によっては、アク抜きや加熱によって抗原性が弱まるものがある。

4.油脂の摂り過ぎはアトピー性皮膚炎を悪化させ得るため控える。

5.加工食品等、食品添加物を含む食品には注意する。

6.外食や市販の菓子類は、使用材料が明らでないものがあるので、

できるだけ手作りの食事が望ましい。

7.食事日記を付け、食事と症状の関連を観察する。

 

<<タンパク質の等価表(タンパク質6g分の食品の重量)>>

鶏卵1個 

50g

<魚介類>

<肉類>

<大豆製品>

鯵、鯛、鰆、カレイ

3035g

牛、豚、鶏肉、

2535g

凍り豆腐

10g

芝エビ

45g

鶏レバー

3035g

大豆

15g

かまぼこ

50g

<野菜、穀物>

きな粉

1520g

<乳製品>

ご飯1.5

240g

納豆(半包)

40g

粉乳

20g

うどん1

250g

味噌

50g

チーズ

2530g

食パン6枚切1

6070g

豆腐1/4

80100g

ヨーグルト

180g

野菜

250300g

おから

120g

牛乳

200g

リンゴ1015

3500g

 

<<カルシウム等価表(1単位=Ca 200mg)>>

食品名

重量(g)

食品名

重量(g)

食品名

重量(g)

しらす干し

40g

干ひじき

15g

凍り豆腐

30g

煮干し

10g

干しわかめ

20g

厚揚げ

80g

田作り

13g

牛乳

200g

しじみ

60g

桜エビ

10g

脱脂粉乳

20g

切り干し大根

40g

ワカサギ

25g

チーズ

30g

小松菜

70g

真鰯

15g

豆腐

165g

大根葉

95g

 

 

<<卵製品のアレルゲンの強さ>>

抗原度

除去対象食品

最も強い

生卵(鶏卵、うずら卵)

強い

<卵を多く使った料理> 

卵焼き、茶碗蒸し、オムレツ、天津飯、スクランブルドエッグ、プリン

<卵が生の状態で使用されている食品> 

マヨネーズ、アイスクリーム、ミルクセーキ、あわゆき等

やや強い

<卵を多く使った菓子類> 

 カステラ、ケーキ、丸ボーロ等

<魚肉加工品、水産練り製品> 

 ハム、ウインナー、ちくわ、かまぼこ、はんぺん等

弱い

<卵を使った焼菓子類、卵を塗り付けた菓子類> 

 ビスケット、菓子パン等

<つなぎに入っているもの> 

 食パン、市販揚げ物の衣等

 

<<卵アレルギーの代替食品>>

<タンパク源として>

肉類(牛、豚、馬、羊、鯨等。鶏肉は多くの卵アレルギー患者が摂取可能。)

魚介類

大豆製品

<調味料として>

ノンエッグマヨネーズ

マヨドレE(大豆タンパク使用)

卵不使用のドレッシング

<嗜好品として>

和菓子類(卵の入っていないもの)

せんべい類

ゼリー、寒天

手作りの菓子

<その他>

手作りソーセージ、かまぼこ、ちくわ、アレルギー用ソーセージ

 

<<乳製品のアレルゲンの強さ>>

抗原度

除去対象食品

最も強い

牛乳、生クリーム、コンデンスミルク

強い

<牛乳を直接利用したもの> 乳児用粉ミルク、コーヒー牛乳、

<発酵乳製品> チーズ(特にパルメザンチーズが強い)、ヨーグルト、

<牛乳を多く使ったデザート類> プリン、アイスクリーム、ミルクセーキ

やや強い

バター、脱脂粉乳(や発酵乳)入りマーガリン

<乳酸菌飲料> 

<牛乳やバターを使った菓子類> ケーキ、カステラ、チョコレート、

<牛乳やチーズを使った料理> ポタージュ、グラタン、ピザ等

<つなぎにカゼインを使用したもの> ハム、ソーセージ

弱い

<牛乳入りの菓子類> ビスケット、クッキー、シャーベット、ガム等

<つなぎに入っているもの> 食パン、ウエハース、インスタントカレー等

 

<<ミルクアレルギーの代替食品>>

 <タンパク源として>

  肉類(豚、鶏、馬、鯨肉等。牛肉は多くのミルクアレルギー患者が摂取可能。)

  魚介類

 大豆製品

 <飲み物として> 豆乳

 <アレルゲン除去調整粉乳>

ミルフィーHP、ニューMA-1MA-mi、ペプディエット、ボンラクト

 <アミノ酸混合乳>

エレメンタルフォーミュラ

<低減化乳製品>

  ペプチドE赤ちゃん、ペプティヨーグルト

 <バター、マーガリンとして>

  菜種マーガリン

 <嗜好品として>

  ミルクノンビスケット、アマランスビスケット、ペプティミルククッキー

  手作りの菓子

 <その他>

  アレルギー用ミルクを使用した料理

  手作りソーセージ、かまぼこ、ちくわ

  アレルギー用ソーセージ

  自家製カレールウ

  アレルギー用カレールウ(市販品)

 

<<小麦製品のアレルゲンの強さ>>

抗原度

除去対象食品

強い

<強力粉を使用したもの> 麺類、パン類、麩

やや強い

<薄力粉を使用したもの> 

菓子類、肉や練り製品のつなぎ、ルウ、揚げ物、ムニエルの衣

弱い

<小麦を発酵させたもの> 

醤油、味噌、穀物酢、(穀物酢使用の)ソースとケチャップ

 

<<小麦アレルギーの代替食品>>

 <主食となるもの>

  ご飯、ビーフン(米麺)、粟麺、稗麺、

  上新粉、白玉粉を用いたすいとん、団子

 <小麦粉製品の代用として>

  雑穀粉(粟、稗、キビ、芋、アマランス)

  でんぷん(片栗粉、くず粉、コーンスターチ、タピオカ粉)

  アレルギー用カレーおよびシチューのルウ

 <調味料>

  米味噌、雑穀味噌、雑穀醤油、果実酢、

  アレルギー用のソースとケチャップ

 <嗜好品、その他>

  雑穀菓子(稗クッキー等)

  ゼリー、寒天

  白玉団子、くず餅

  ウーロン茶、煎茶

 

 

<<大豆(豆)製品のアレルゲンの強さ>>

豆科植物の共通抗原がありますが、大豆抗原の多くは他の豆類と共通しないことが多い。

また豆科植物共通抗原に感作されている人も、発酵食品は食べられることが多い。

抗原度

除去対象食品(他の豆類も含む)

最も強い

大豆、おから、枝豆、

ピーナッツ、ピーナッツ・バター、

植物油(大豆油、ピーナッツ油等)

強い

<大豆油を使用しているもの> マーガリン、カレールウ

<カカオ豆を使用しているもの> チョコレート、ココア

<植物油で揚げたインスタント食品> 焼きそば、ラーメン等

<植物油を使用した菓子類> スナック菓子、サラダせんべい等

やや強い

<加熱した大豆加工品> 豆腐、豆乳、

<他の豆類> グリンピース、いんげん豆、春雨(緑豆製)

<大豆・小豆を加工した菓子> きな粉、小豆、餡粉を使った和菓子類

<植物油を使った揚げ物>

コーラ(コーラ“豆”とコカ葉が原料でした。1903年以降コカ葉不使用です)

弱い

<発酵食品> 納豆、味噌、醤油、

<発芽食品> もやし

 

<<大豆アレルギーの代替食品>>

 <タンパク源として>

  肉類、魚介類

 <調味料として>

  ダイズノン味噌(大麦製)、雑穀味噌、ダイズノン醤油(小麦製)、雑穀醤油(稗、粟)、

魚醤油

 <大豆油の代用として>

  シソの実油、エゴマ油(これらはαリノレン酸を多く含む。)

菜種油(PCA検査合格済のもの)、菜種マーガリン

  オリーブ油(純正のもの)

  ノンエッグマヨネーズ

  アレルギー用カレールウ

 <嗜好品として>

  乾燥果実(ノンオイルのもの)

  白玉団子、  芋ようかん等

 <春雨の代用品として> ビーフン、糸こんにゃく、

 <その他> 焼き海苔

 

<<米アレルギー>>

米によるアナフィラキシーは極めて稀ですが、アトピー性皮膚炎の悪化という症状を来すことは時々あります。米特異的IgE RASTが陽性でも無症状で摂取可能なことが多い。

 

<米アレルギーで避けるべき食物>

米、玄米、もち米、

<米製品> もち、ビーフン、上新粉、白玉粉、道明寺粉、

<米を含む食品> 玄米茶、米こうじ、米味噌

 

<米の代替食品> パン、麺類、オートミール、稗、粟、ジャガイモ、さつま芋

<酵素処理米> ファインライス、ケアライス

<超高圧処理米> Aカットごはん

 

<<魚介類アレルギー>>

頻度は、卵、牛乳、小麦に次いで多い。

魚類、貝類、軟体類、甲殻類に分けられる。

甲殻類と軟体類はトロポミオシンが主要抗原であり、両方食べられないことが多い。

魚類はパルブアルブミンが主要抗原であり、甲殻類や軟体類と交差しないことが多い。

イクラによる乳幼児の即時型アレルギーが多く、離乳期にはイクラを与えてはいけない。

 

<<食肉アレルギー>>

食肉アレルギーの頻度は比較的少ない。各肉類の間の交差抗原性は比較的少ない。

牛肉、鶏肉、豚肉の順に多く、七面鳥、羊肉、鹿肉アレルギーは少ない。

ミルクアレルギーがあっても牛肉が摂取可能であったり、卵アレルギーがあっても鶏肉が摂取可能であることが多い。

肉類の抗原性は加熱で低下することが多い。

 

<<果物アレルギー>>

口腔内アレルギー症候群(OAS)に見られるような口腔内に限局したアレルギー症状が多い。

OASの原因としては、キウイ、リンゴ、桃、トマト、メロン、さくらんぼ、スイカ等が挙げられる。

OASを引き起こす抗原の多くは不安定で、十分に加熱すれば摂取が可能になることも多い。

<<野菜アレルギー>>

ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンを含み、免疫反応を介さずに、アレルギー類似の症状を起こす。

<ヒスタミンを含むもの> ほうれん草、トマト、とうもろこし

<セロトニンを含むもの> トマト、バナナ、キウイ、パイナップル

<アセチルコリンを含むもの> 茄子、トマト、筍、里芋、大和芋、クワイ

<ニコチンを含むもの> ジャガイモ、トマト

<サリチル酸化合物を含むもの> トマト、キュウリ、ジャガイモ、苺、リンゴ

 

 

<<離乳食の進め方の目安>>

区分

離乳前期

離乳中期

離乳後期

完了期

月齢

67

89

1011

1215

回数

離乳食

12

2

3

3

授乳

4

3

2

2

調理形態

ドロドロ

舌でつぶせる硬さ

歯ぐきでつぶせる硬さ

 

 

穀類

740g

つぶし粥

3080g

お粥

短く切って煮込んだうどん

70100g(軟飯は80g)

お粥~軟飯

1cmに切ったうどん

ゆでて1cmに切り煮た

マカロニ

トーストして

小さく千切ったパン

90110g

蛋白質

520g

豆腐

→煮てつぶす

白身魚→煮て擦りつぶす

2040g

豆腐→煮てつぶす

白身魚

→煮て細かくほぐす

 

40g

豆腐

→賽の目に切って煮る

白身魚

→煮て荒くほぐす

挽肉→スープで煮る

 

4050g

野菜

 

1050g

人参:おろし煮

かぼちゃ:裏ごし

大根:煮てつぶす

5080g

野菜:つぶし野菜

  みじん切り

海草:ドロドロに煮る

7090g

野菜:繊切りを煮る

海草:細かく刻んで煮る

果物:柔らかい物を開始

90100g

調理用油脂類

砂糖類

01g

22.5g

3g

34g

 

<<IgE-RISTの正常値>>

年齢

新生児

≦月齢6

1歳未満

2歳未満

3歳未満

5歳未満

10歳未満

10歳~成人

正常域

1.2

5

10

20

40

70

100

200

 

<<食物アレルギー患児への食物負荷試験陽性的中率と食物特異的IgE値>>

食物抗原

牛乳

小麦

大豆

ピーナッツ

魚介類

IgE-RAST score(U/ml)

7(オボムコイド6

22歳以下)

15 U/ml

52歳以下)

26 U/ml

30 U/ml

14 U/ml

20 U/ml

負荷試験陽性的中率(%)

98%

952歳以下)

95%

952歳以下)

74%

73%

100%

100%

負荷試験陰性95%的中域

 

0.8 U/ml

7 U/ml

2 U/ml

 

0.9 U/ml

安全な再投与までの期間

11.5

23

23

1

 

 

AAP推奨の投与開始年齢

2歳以降

1歳以降

 

 

3歳以降

3歳以降

日本では離乳後期

 

・乳児アトピーの74%が食物アレルギーに誘起されたもので適切な食物の除去が重要です。

・幼児期は除去群で食物アレルゲン感作が少ないが、学童期では有意差がなくなります。

DSCG(インタール)内服はDB-RCTによる試験において有効率60%とされています。

DSCGは血中移行率0.8%で小腸粘膜局所でマスト細胞からのヒスタミン等の遊離を抑制し、腸管透過性の抑制効果はほぼ100%とされています。しかし抗原を大量に摂取した時は症状が出現することから、あくまで除去食の補助療法です。48週間で効果判定します。

 

~工事中~

 

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